さて、その厚いドアの中に入ると、トンネルのようなものが横たわっていた。このトンネル系は以前輪切りにされたレントゲンと同じような形であったので、やはりそうなんだよなあ、MRIって輪切りレントゲンなんだよと思った。
だから、そこの人に、
「MRI初めてですか?」
と聞かれたら、
「いえ、随分前にやったことがあります」
と少しの躊躇もなく返答してしまった。
それから、何もなかったように足を固められていった。
「動いたら綺麗なのが取れませんので、できるだか楽な姿勢で、その上動かない姿勢で」
なんて言う分かったような分からないようなことを言われ、固まっていく。
そして、
「ここうるさいですから」
と言われ耳に大きなヘッドフォンをつけられる。これはまるでテレビのクイズ番組で他の人の解答を聞けないためのヘッドフォンと同じ状態である。そして、
「もしも、気持ち悪いことになったら、声出しても聞こえませんので、これ押してください」
と、押すものを持たされる。
何で、レントゲンで気持ち悪くるんだ?といよいよ、気持ち悪くなってくる。
そして、つけられた音を遮断すると言うヘッドフォン。ところが全く聞こえないというわけではなくて、ある程度の音は聞こえる。その部屋の中にはクラシック音楽が流れているのであるが、それもしっかり聞こえるのである。
ん??と言うことは、テレビで見ているヘッドフォンをつけた回答者は、もしかして聞こえているのではないかとの甚だしい疑問が浮かんでくる。
続く