Bookrock

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ロックスターとしての尾崎豊

尾崎豊のライブ映像をずっと見ていて今更ながらに気がついたのだけど、尾崎豊ってロックスターなんだなあと言うこと。

彼の歌というと「卒業」とか「I LOVE YOU」とか「シェリー」とかスローテンポな曲が有名で代表作という感じで語られることが多いため、その局面ばかりが強調されてしまう。
スローな曲〔バラードと言ってもいいと思いますが〕は、歌詞が聴いている時に頭の中に残っていくので、名曲になりがちだけど、そればかりを見ていくと尾崎豊の半分しか分からない。

僕もこのところ尾崎豊を聴いていなかったので、そういう風に思っていた。ところがいろいろな楽曲をもう一度聴くとそんなことは全くない。

Scrambling Rock'n Roll

こういうアップテンポな曲でのコンサート風景を見ると狂気なところが見えていい。

そして、彼の真骨頂って本来のロックが持つスピードと躍動感と狂気なのではと思う。


「オレが高校一年生の時の話しを聞いてくれるかい?
オレにはあんまり友達がいなくって
いつも休み時間になると、こうやって自分の席に座って
ウォークマンを聴いていたんだ
テープの中身は例えば
ブルース・スプリングスティーン
ジャクソン・ブラウン
佐野元春
浜田省吾なんかを好んで聴いていたんだ。
そんな風に休み時間はいつも一人で悶々としていた
そんなオレのことをクラスの連中は、みんなみんなみんな白い目で見やがった
それでもオレは負けなかった
みんな用意はいいかい?」

ハイスクールRock'n Roll
  

尾崎豊じゃないと恥ずかしくて聞けないMCだ。

尾崎豊だから許してしまうし、共感もできてしまう。

こう言うところがロックスターたる所以だと思う。

ギターを投げるシーンが多いけど、スタッフの人はちゃんと受け止めていたんだろうか?とかどうでもいいことも思ってしまうし、彼が踏むステップを見ていると、おい大丈夫かい?とも思ってしまう。
そして、スタッフの予測不可能な行動に出る尾崎豊

それやこれやを超えて凄いロックンロールだと思う。


そして、17歳の地図


十七のしゃがれたブルースを聞きながら
夢見がちな俺はセンチなため息をついている
たいしていい事あるわけじゃないだろう
一時の笑顔を疲れも知らず探し回ってる
バカ騒ぎしてる 街角の俺達の
かたくなな心と黒い瞳には寂しい影が
喧嘩にナンパ 愚痴でもこぼせば皆同じさ
うずうずした気持ちで踊り続け 汗まみれになれ
くわえ煙草のSeventeen's map

街角では少女が自分を売りながら
あぶく銭のために何でもやってるけど
夢を失い 愛をもて遊ぶ あの子 忘れちまった
心をいつでも輝かしてなくちゃならないってことを
少しずつ色んな意味が解りかけてるけど
決して授業で教わったことなんかじゃない
口うるさい大人達のルーズな生活に縛られても
素敵な夢を忘れやしないよ ワァオ!

人波の中をかきわけ 壁づたいに歩けば
すみからすみはいつくばり 強く生きなきゃと思うんだ
ちっぽけな俺の心に 空っ風が吹いてくる
歩道橋の上 振り返り 焼けつくような夕陽が
今 心の地図の上で 起こる全ての出来事を照らすよ
Seventeen's map

ちゃんとロックンロールをしている。
彼のこう言う狂気に満ちたグルーブ感のあるロックとしての番組があったらいいかなあと思う。

思えば、尾崎豊を最初に聴いたのは大学生の頃だった。
その当時、日本のポップシーンというのは惨憺たるもので、もう何を聴けばいいのか分からない時代だったような記憶がある。

日本のロックは終わったと本気で思っていた。

そこに彗星のごとく現れたのが、尾崎豊であり、それはロックの救世主でもあった。

彼、尾崎豊は、1965年11月29日に生まれる。

1983年、シングル「15の夜」とアルバム『十七歳の地図』でデビュー。

4枚目のシングル「卒業」が大ヒットする。

10代で、その同世代のカリスマとなっていきます。
尾崎豊が一番輝いた時代です。
この時期、尾崎豊本人とファンは同時進行で大人になっていきます。

反逆をテーマにした10代。
そして20代へ。

20代になってからどうしたらいいのか悩む彼は、単身アメリカへ飛びます。


ここからが難しかったのではないかと思います。

10代にしては、背負うものが大きすぎたのではないかと当時僕は思いました。
大人になっていくと、何らかの折り合いを付けながら生きていくのですが、ファンから求められる、もしくは求められていると感じるものを実現するにはどうしたらいいのか分からなくなったのでしょうね。

若者のメッセンジャーを卒業した後、社会への批判とかに進む方向性もあったのではないかと思います。例えば、日本で言うと自衛隊廃止とか原発廃止とかそういう歌です。
大人に対する反逆から社会に対する批判へと舵を切るというのもありかなあと思いますが、それができなかったのです。
僕は、自衛隊とかを批判することがいいとは思いませんが、反逆からの振り幅としてそう言う題材に行くことは、ファンを裏切らないことになるのではないかとも思います。

結局、尾崎豊は20歳以降の自分の方向性を見つけられなかったのでしょう。
後半生ではドラッグとかの話しも出てきますが、若くして天才と言われ早世した人として、ドアーズのジム・モリソンとかジャニス・ジョップリンと重ね合わせてしまいます。

今、尾崎豊が生きていたらどんな歌を歌っていたのでしょうね。
とても、気になります。


オリジナル・アルバム
十七歳の地図 - SEVENTEEN'S MAP (1983年)
回帰線 - TROPIC OF GRADUATION (1985年)
壊れた扉から - THROUGH THE BROKEN DOOR (1985年)
街路樹 (1988年)
誕生 - BIRTH (1990年)
放熱への証 - CONFESSION FOR EXIST (1992年)

シングル
15の夜 - THE NIGHT (1983年)
十七歳の地図 - SEVENTEEN'S MAP (1984年)
はじまりさえ歌えない - CAN'T SING EVEN THE BEGINNING (1984年)
卒業 - GRADUATION (1985年)
DRIVING ALL NIGHT (1985年)
核 - CORE (1987年)
太陽の破片 (1988年)
LOVE WAY (1990年)
黄昏ゆく街で - 57TH STREET (1990年)
永遠の胸 - ETERNAL HEART (1991年)
I LOVE YOU (1991年)
汚れた絆 - BOND (1992年)
15の夜(ライブ) - THE NIGHT (LIVE) (1993年)
OH MY LITTLE GIRL (1994年)
もうおまえしか見えない (1996年)
風にうたえば (1999年)
卒業 - GRADUATION (1999年)
FORGET-ME-NOT (2001年)
I LOVE YOU (2001年)
 

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