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みんなの協力なんて笑い飛ばす一人の天才のやったこと

第86回箱根駅伝
5区の距離が伸びてからこの駅伝の様相が明らかに変わった。それは、山の神と言われる二人の選手が出てきてからだ。

一人目は順天堂大学の今井。
彼は4年間5区を走り毎年区間賞を取り、山の神と言われた。4年次はその活躍により順天堂大学を総合優勝に導いた。導いたが、今井の活躍は順天堂大学駅伝選手の一部と言う感じだった。それは、もともとこの大学の選手たちの実力自体が高かったことによる。
ここまでは、いくら5区が重要だとしてもやはり一番重要な区間は2区だった。

ところが、柏原竜二が5区で区間賞をとった去年から5区の重要性は一変する。
その圧倒的な力の差により、4区までの約5分の差を逆転するどころか2位との差を、もうどうしようもないくらいに離してしまう。駅伝と言う競技は不思議なもので、前の選手との差が尋常でないと後ろの選手が勝手につぶれていってしまい、いつもの力を出せば二人か三人で詰めるものができなくなる。
去年の箱根駅伝は、まさしくそういう戦い方になってしまい、5区でつけた差が最後まで生きて東洋大学が総合優勝を遂げる。

確か今年の箱根駅伝が始まる前、早稲田大学の渡辺監督が5区に一人の大砲がいればレース全体を征服するみたいなことを言っていたようだが、まさしくそれは、順天堂大学の今井であり、東洋大学の柏原である。
  

今年の箱根駅伝は、明治大学の激走が前半を盛り上げた。後から日刊スポーツを見たら、明治大学は1区から4区まで選手が揃っていて優勝も狙えると言うことが書かれていたけど、まさにそういう力強いレースだった。

ところが5区でその様相は一変する。

7位でたすきを受け取った東洋大の柏原はいきなり前の選手を抜きにかかるが、坂道にさしかかり登りかかると、一人だけ別次元の走りになってしまい誰もついていけなくなる。

1位とは、4分26秒の差があったものをゴールした時は2位に3分36秒差を付けるという圧勝ぶりである。

これを簡単に言うと、約8分差を逆転したようなものであり、一つの区間でこれほどの差が付くところはない。

これこそ、一人の天才が駅伝自体を変えたものであり、ただただ凄いとしか言いようがない。

今井から数えると6年連続でこういう駅伝を見てしまうと、この5区を制するものが箱根を制すると言っても過言ではなくなる。

これは、この今井と柏原という二人の天才ランナーによるところが大きいとは思うが、来年から5区の選手配置はもっと難しくなるし、これこそ新・華の5区と言われるようになるかも知れない。


5区の記録です。

1位 柏原 竜二 東洋大学 01:17:08
2位 大谷 康太 山梨学院大学01:21:16
3位 大石 港与 中央大学 01:21:30
4位 深津 卓也 駒澤大学 01:21:47
5位 福山 真魚 上武大学 01:22:27
6位 田村 優典 城西大学 01:22:42
7位 貝塚 信洋 東京農業大学01:23:03
8位 長尾 正樹 日本体育大学01:23:08
9位 八木 勇樹 早稲田大学 01:23:34
10位 小嶺 篤志 青山学院大学01:23:52
11位 大谷 克  中央学院大学01:24:02
12位 土久岡陽祐 帝京大学 01:24:17
13位 北浦 貴大 関東学連選抜01:24:39
14位 末山 貴文 法政大学 01:25:45
15位 金子 太郎 東海大学 01:26:00
16位 高橋 賢人 大東文化大学01:26:16
17位 星野 光汰 専修大学 01:26:50
18位 久國 公也 明治大学 01:27:17
19位 山中 宣幸 亜細亜大学 01:29:10
20位 笹崎 慎一 日本大学 01:29:22

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