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どうやって社員が会社を変えたのか〜企業の風土改革を読む

最近、久しぶりに本を読んでいるなあという気がします。
この本は、会社から借りたものです。

スコラコンサルティングの柴田昌治さんというのを見て、いや、久しぶりだなあと思いましたが、その久しぶりが何の久しぶりかが分かりませんでした。

本を読み進めるうちに思い出しました。

たこつぼです。

なんで会社は変われないのか

でした。

いすゞ自動車の企業風土改革でした。

もう、10数年も前になりますか、その本を何度も読み返した記憶があります。
なぜ会社は変われないのか、は、実話を基にしたドラマ仕立ての小説だったような気がしますが、そのいすゞ改革の中心にいた3人の講演を基に書かれているのが、本著です。

本に書かれていたキーワードのいくつかを書いていきます。


社員のロイヤリティ、チームワーク力の喪失の背景には、上からのあるべき論の押しつけがある
やらせ。やらされの改革は社員を疲弊さえる
事実に即して物事を見ていこうという姿勢が大切
二割が動けば会社は変わる
不定不満を出し切ることで人は当事者になる
まず変わるべきはトップ

やらせ、やらされの改革。

改革は、いかに当事者として覚悟をもってあたるかにかかっているかと思います。お仕着せの改革とかは、成り立ちませんし、やる気も失せてきます。そして、何より、はしごを外されるという恐怖感もあります。
あなたの、その言っていることに、熱量はありますか?
覚悟はありますか?
と、僕は、企業の風土改革の話が出るときに考えるようにしています。

二割が動きことは大変です。
でも、二割なら動かせられるかもしれません。
コアメンバーをどうやって集めていくのかが重要かなあと思います。


改革を始めるときは、あえて組織内に温度差を作ったほうがいい
情報は組織の血液、ありのままの事実を共有することで、組織は健全さを取り戻す
活動は出入り自由が原則。推進室も事務局もいらない
人は改革に参加することで幸福を感じる
改革の仕掛け人には危険も伴う。志なくしては改革の旗は振れない

これは、いすゞ自動車の改革の中心で旗を振り続けた、北村三郎さんの話の要点です。

温度差を作るというのは、凄みを感じてしまいます。
情報の共有も言うことは安しですが、本当の意味で共有することは大変かなあとも思います。
で、やはり、志です。


改革はエネルギーのあるところから出発し、温度差やあいまいさなどから生じるゆらぎをマネジメントしながら進めていく
オフサイトミーティングではテーマもプログラムも絶対ではない。参加者と一緒に流れを作る
任せる、マネジメントで現場のやる気も引き出す
ありたい姿は目標ではなく価値転換のコンセプト。そこに近づくための挑戦を続ける
部門連係は、ともに目指すものを共有することから始まる

オフサイトミーティングですね。


続いて、いすゞ自動車の後に社長になった稲生武さんです。

リーダーにはリーダーの仕事がある。部下の仕事をやってはいけない
改革はしばしば軋轢を生じさせる。それを乗り越えたとき、社員は一つになれる
組織風土がよくなると、社員は自分で考え行動するようになる。セクショナリズムもなくなる
人は自分で物事を決めてやったとき、本来の力を発揮し大きな成果を上げる
改悪をやる以上は、本気でやることが大切。その人が本気かどうかは、言動を見ればわかる
技術者の力が生かせるかどうかは、企業の風土にかかっている。

会社の風土改革をやろうとしている経営の方に読んでもらいたいフレーズですが、以下は、自分のための備忘録的な内容です。


気の芽招会を立ち上げた。
元気・本気・やる気の三気の目を招く会のこと。

目標を設定するのではなく、コンセプトを掲げる
コンセプトとはあるべき姿

営業部門や販売店が車を売るときはちょっとした塗装傷でも、顧客が嫌と言ったらクレームになる。ところが当時の製造現場には、1センチ四方に5ミリ以下のゴミ・キズなら3個までOKという内々の基準があった。それをクリアしていればちゃんと車を作っていることになっていた。店頭と生産現場の認識には大きなずれがあった。

改革の要諦の一つは、本気でやること

JR東日本
書類の一番上に、安全を最終戦すると書かれている。

東日本大震災の時、東北新幹線では27本の新幹線が走っていたが、一本も脱線せず、27本すべてが停車でき、一人のけが人も出なかった。

いすゞ以前の企業改革と言えば、会社が社員を変えることを意味していた。それに対していすゞの改革は、当事者になった社員が経営とチームになって自分たちの会社を改革する。


人は自分で考える力を身につけ、自分で仕事のやり方を考え、自分で実行したとき、少々きつい仕事であっても仕事を心の底から楽しめるしその方が業績も上がる。人を幸せにする会社とは社員がそのようにそれぞれが持っている個性を伸ばしつつ、楽しみながら働ける会社である。

風土改革とは、社員が自ら当事者となってそういう会社をつくっていくこと。

コアネットワークは、変革の意志をもつ社員の自発的な結びつきであり、会社をよくしたいという志とそのためのエネルギーを持っている人たちによって形成される、共感のネットワークである。

当時は、この指とまれで集める。出入り自由。芋づる式につながる。などと表現していた。
 

自分の会社で何ができるかを、この本読みながら考えました。

4532318432どうやって社員が会社を変えたのか―企業変革ドキュメンタリー
柴田 昌治 金井 壽宏
日本経済新聞出版社 2013-01-26

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