昨日ちょうど地方の遊園地の復活について書きました。
なんか、神の思し召しか、偶然Kindleで買っていたこの本。
USJのジェットコースターはなぜ後ろ向きに走ったのか? V字回復 by 森岡 毅
です。
遊園地と書いて昨日は少し違和感があったのですが、こういう施設は今、テーマパークと呼ばれています。
いつの頃からか分かりませんが、遊園地って言うのは、すごい小さな遊び場ってイメージになりました。
ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)は、V字回復をしていたのは何かで読んで知っていたのですが、その実態についてはよく知らなかったのです。
この本は、そのV字回復の陣頭指揮を取った森岡毅さんの体験が書かれています。
ドキュメンタリーと言うより、マーケットをいかに活性化するのかの視点で書かれています。
良書です。
以下、いくつか引用しながら書いていきます。
1段目のロケットは、テーマパーク事業の最大のボリュームゾーンでありながらUSJの長年の弱点だった「家族連れ顧客(ファミリー)」を取り込むこと。
2段目のロケットは、遠方からゲストを集客できる「ものすごい何か」を作って関西依存の集客構造から脱却すること。
3段目のロケットは、科学的経営管理法に基づいてパークを効率的に運営するこの会社のノウハウを複数の場所に展開して、会社を大きく飛躍させてゆくこと。
当時USJはゲストの現象に歯止めがかからない状況でした。
もともとは、大阪府などが出資する第3セクターからはじまったのが、このUSJです。
第3セクターの一番の欠点は、決定力のなさです。
公が出資することで、公共性に捉えられ失業の危険性も少ない中で、チャレンジ精神がなくなります。
そして、それは初年度入場者数1000万人という成功体験だけをもった職場になります。
最初の失敗がなかったら、落ち込みはなかったものと思います。
それは、今の自分達の責任ではなく、当時の小さな失敗がもたらしたもので今の自分たちがやっていることは間違いではない、正しいことだと思い込むことになります。
復活は、この気持を変えることから始まります。
人が一度持った観念は通常強固なものです。
そしてそれが人々と言う複数になった時、強大なパワーになります。
それを変えていくわけです。
変えるに当たり、明確な目標を定めたのが、この3弾ロケット作戦です。
ユニバーサル・スタジオ・ジャパンというブランドを、「映画の専門店」という妄想から、「世界最高のエンターテイメントを集めたセレクトショップ」へと脱皮させることでした。
USJは、映画の専門店でした。
実は、一度も行ったことのない僕は未だにそういう感じを持っていました。
映画というのは、レジャーの中では強大なコンテンツです。
でも、そうは言っても、限られています。
小さな世界です。
それを打ち破らないと、その先にある広大な大地を攻めることはできません。
そこで出たのが、世界最高のセレクトショップです。
これで映画以外のコンテンツも展開することが可能になりました。
当時、導入していた、キティちゃんなどのコンテンツが大々的に展開できることになったわけです。
映画からセレクトショップへの展開は、反対者も多かったようです。確かに、映画にこだわって、USJに行っていた人にとって、自分の聖地が汚されるという感覚だったかもしれません。
でも森岡さんはぶれません。
最初のロケットである、ファミリー層を獲得するため、邁進します。
リノベーション(改造)は、全く新しいものを作り出すイノベーション(革新)とは違い、既存のものを新しく生まれ変わらせるべく手を加えて改造・改築することを指します。例えば、新築の家ではなく、古いものをリフォームして新しい価値を生み出した家などは、このリノベーションに含まれます。
夢の実現のため、リノベーションを行います。
限られた投資から、それを最大限に活かすための手法です。
USJにあるコンテンツを最大限に活かし、それを味付けすることで劇的に変えていきます。
お金がなくても、一生懸命にアイデアを出し具現化していくことが非常に重要だと分からせてくれます。
日本人は、リノベーションが苦手だそうです。
最初から作らないと、恥ずかしいと思うそうです。
ただ、最初方作るというのは非常に難しい。
なら、世界にあるアイデアを使い、作っていく。
それが最短距離になります。
日本人は何でも自分でゼロから始めようとする、悪いクセがあるように思うのです。これは日本人の職人気質から来ているのではないかと思うのですが、人のアイデアを活用したり、それをベースに新たな価値を増築していくことが、スマートだと信じている人をあまり見たことがありません。
2012年、USJは10週年を成功させます。そして2013年。正念場です。周年事業の次の年は入場者数が減るのは業界の常識です。
でも、
私が絶対に我慢ならなかったのは、挑戦する前に、実際に全力を尽くす前に、諦めることでした。アイデアというのはそんなに安いものではないのです! そして2013年を生き抜くことは、会社の未来を創ることそのものでしたから、ベストを尽くさず諦めるなど絶対に選択肢にはなかったのです。
2013年も諦めずにベストを尽くします。
2013年は、デズニーリゾートの30周年に当たりました。
それでなくても現象するのに追い打ちをかける状況です。
前年比15%減を予想し、そしてそれに打ち勝つため、お金を掛けずにお客さまに満足を与えるコンテンツを展開することで20%増を目指します。
そこで出てきたアイデアが、ジェットコースターを後ろ向きに走らせることです。
社内では大きな反対論が巻き上がりました。
その中、安全性を確かめ、リリースします。
結果、大成功し、2013年入場者数を前年比プラスに持っていきます。
中小企業や業界で2位以下のような会社は、生き残るためには攻め続けて勝ち続けるしかないということです。
そうです。攻めるしかありません。
今に満足していたら上昇曲線に乗れません。
USJのジェットコースターはなぜ後ろ向きに走ったのか?
は、それを具体的にわかる書籍になっています。
森岡さんは、左脳人間だそうです。
数字を使いロジカルに物事を考えていきます。
ひらめきではなく、裏付けがあって、それを実行していきます。
ただ、答えがどうしても出てこないものは、一気に動いて実現します。
考えて考えてわからないものは、動いて回答を求めます。
自分も頑張ってみようと思います。
USJのジェットコースターはなぜ後ろ向きに走ったのか? | |
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