ゴールデンウィークと言うことで、一気に本一冊を読みきってしまいました。
一日で読み切るなんてことは、ここ最近、ずっとなかったことです。
小泉武夫さんの、漁師の肉は腐らない。
義っしゃんと先生の出会いから、偶然の再開。
そして舞台は、義っしゃんが住む、福島県八溝山地へ。
車は行けず、電気も通らないものすごい田舎の一軒家に義っしゃんは住んでいます。
そこを尋ねる先生。
粕取焼酎2升とくさやを携え訪ねます。
つい一晩の滞在と思っていたら、その毎日の面白さに帰ることを言い出せず、一日一日と時が過ぎていきます。
そこで、知った数々の驚き。
そして、昔の人が生きるために行ってきた数々のこと。
肉を腐らせないために何を行っていたか?
僕達が、燻製と言っている料理が、見方を変えればこんなに冷蔵庫のない時代に理にかなっていた調理法だと分かります。
毎日、食べものを取り調理し食べていく、その繰り返しですが、こんなに食というのは奥深いものかと気付かされます。
食べ物の話は、捕鯨まで行きます。
商業捕鯨ができなくなった現在。
海は、ものすごい数のクジラが溢れかえっているそうです。
クジラの食料は魚です。
ものすごい数のクジラは、ものすごい数の魚を食べているわけです。
捕鯨反対国の多くが、牛肉の輸出国です。
牛肉を世界の人に食べさせるため、クジラの捕獲に反対しているというわけです。
反対国のひとつはアメリカです。
アメリカは、その昔、クジラを取りその油を使い船を操縦していました。
油をとったクジラは不要になり捨てていたのです。
物語は、夏の5日間。
最後の日には、悲劇も襲います。
自然に畏敬の念を持ちながらも対処も完璧です。
ヤマメを食べ、ドジョウを食べ、マムシを食べ、蜂の巣も食べます。
そのどれもが、都会にはない旨さです。
夏の物語は終わり、2年後の冬。
12月7日にまた義っしゃんの家を訪れる先生。
そこでは、冬の八溝山地の光景が描かれます。
土の中から取るドジョウ。
兎鍋。
真冬の風呂の入り方。
そこには、家ぶろが普通になった現代では、全く思いもよらない、古きよき風呂のあり方。
そして物語は、 クライマックスの猪狩りへ。
鉄砲での猪狩り。
本の帯に書かれている、過酷な自然との暮らしは、現代人が忘れてしまった様々な知恵と工夫がてんこ盛り。
この本に書かれていることは、人が人へ繋いでいくしかありません。
それができなかったら、こういう書物に残すしかありません。
そういった意味でも、素晴らしいですが、読み始めると最後まで一気に読まずにいられるか!という本です。
お勧め。