著者のあとがきに書かれていますが、高杉晋作は天才です。
明治維新を見ずに散った天才二人。
高杉晋作と坂本龍馬。
この二人があと10年生きていたら、この日本はどう変わったんでしょうか。
20年生きてたら、ものすごく変わっていたと思います。
この逆説の日本史21巻目で、とうとう徳川幕府が終止符を打ちます。
幕末維新の時代は、英雄が何人も出ます。
その中で唯一のマイナスのヒーローが、徳川慶喜です。
15代将軍徳川慶喜。
生まれは水戸藩です。
水戸藩は、この著作では将軍家になってはいけない家柄です。
他の徳川家が、何があっても徳川家につくように言われた中、水戸藩だけが天皇を選択せよと言われた家柄です。
徳川家より天皇家を選べと言われて大人になった慶喜は一橋家の当主になります。
そして、家茂亡き後将軍になります。
この天皇第一の将軍がこの時代にいたことにより、明治維新が成立します。
それも、江戸城無血開城と言う、世界に類を見ない政権交代が。
普通どの国でも、政権が変わるときは、革命がおこります。
血で血を争う戦いが起こりますし、前政権の王は殺されます。
ところが、明治維新はそういうことが起こりませんでした。
徳川慶喜が、朝敵になることを一生涯かけて拒んだために。
そのため、多くの幕府賛成派が無残な最期を遂げます。
ただ、武力では冷静に考えるとまだ江戸幕府の方が優勢であったため、徹底抗戦したら日本中が焦土になったかもしれません。
その結果、日本も香港のように外国の領土になったかもしれません。
ある意味、とても卑怯な徳川慶喜がこのとき将軍だったため、奇跡的に最小限の戦いで政権交代が起こります。
天皇と言うのは、日本にとってなくてはならない存在です。
日本で民主主義が成立したのは、天皇がいたからです。
つまりは、天皇の下では、みな平等と言う思想があったからです。
侍がトップでその下に、農工商がいるという図式を覆し議会制民主主義が欧米以外で唯一できたのが(たぶん)日本だったのは、天皇がいたからです。
と言うようなことが書かれています。