松下電器の創業者である、松下幸之助さんの話がよく出てきます。
上司力20の作者である、江口克彦さんは、元PHP総合研究所の社長で、松下幸之助さんのもとで23年間働いていた人です。
これだけでも、羨ましいとしか言えません。
松下さんの直接の薫陶を受けたと言うだけで、自分の人生の誇りかと思います。
そのイズムがふんだんに盛られたこの書。
上司としていかにあるべきかが簡潔に書かれています。
項番だけ読んでもなんとなくわかる気がします。
夢を示して誇りを持たせる
バカンスはあくまで、峠の茶屋。欧米では長いバカンスを楽しみながら働くと言う素敵な風習がありますが、バカンスを目的に仕事はできません。あくまで茶屋で一服と言う感じです。
大きな夢を次代につなぐ。企業が続くためにはぜひとも必要です。
努力の方向を明確に示す
勝つことだけが大切なのではない。勝てば官軍と言う発想を明確に否定しています。
勝ち方の美しさを競う。
口先だけではなく、心でほめる
人格を認めれば信望が集まる。
熱意を見極め評価する
熱意を評価すれば、人は努力を惜しまない。このあたりの書かれていることは、確かにそうだろうなあと思います。
やらせて、潜在能力を引き出す
自分より優れた人を使う人が優れた人。上司として、優れた部下をどのように使うかが重要です。
尋ねてほめて育てる
話をほめれば情報が集まる。人をほめるっていうことは非常に重要です。
信頼して仕事を任せる
仕事をやり遂げ、人を育て新しい仕事を創造する。
信頼されれば、豚も木に登る。いかにして信頼するかが重要です。ちょっとの失敗ぐらいよいし、一度任せた以上、とことこ任せるべきです。
能力と人間の評価を分ける
その時の評価は永遠の評価ではない。一時の評価に一喜一憂すべきではありません。課長になるのが遅くても、それはその時の評価でしかなく、課長になってから部長になるのが逆にトップかもしれません。
猿は猿、魚は魚、人は人
自分より優秀な部下を作る
優秀な部下がいて、その部下にぬかれてしまうので育てないという考えは明確に誤りです。優秀な部下を育てたことは、周りが見ています。そして、その優秀な部下を育てるということは、上司として非常に重要な役割です。
本気で叱る
冷静に考えて叱る
否定して肯定する
部下に詫びる度量を持つ。自分が言ったことが誤りだったら、部下に詫びることも必要です。
雑談で伝える
ことあるごとに考えを話す。
雑談で自分の哲学を語る。会議室で言うのではなく、エレベーターであった時に気軽に話します。それの方が、部下は身構えないですから、却って心に残ります。
それから、絶えず考えを繰り返し話すことが重要です。
してみせて、やらせる
先憂後楽の心構えを
部下は見ていないようで、見ている
情報を共有する
情報独占は孤立を招く
信頼は情報を漏らさず。信頼して言えば、シークレットなことは外にはもれません。自分を信じて言っていることが分かるからです。人は、ある時、粋になります。
気軽に声をかける
まず上司から話しかける
名前の呼び捨ては人格の呼び捨て。ここらあたりは、自分に響きます。ここ数年、呼び捨てにしている自分がいます。
目を見て話しをする
相手の言葉の心を読む
会って目を見て話しをする。目を見て話しをするのは重要です。メールで済ませることはスピード感からしたらよいのですが、物事の本質は伝わりません。それから、相手が本当にわかっているかも分かりません。
与える仕事の意義を教える
曖昧な指示は命取りになる
感性で納得させて導く
やりたい仕事をやらせてみる。感性で納得させるというのは、目から鱗でした。
繰り返し思いを話す
繰り返して話さなけらば伝わらぬ
人生と経営は賭け事ではない
いつも、正しさが行動基準。何をもって仕事をするかの本質です。ただしさこそが行動基準になります。
心のなかで手を合わせる
部下が会社を支えている
日本の発展は社員の努力の成果
部下に手を合わせて感謝する。良い経営者は世界のどこでもいます。ところが良い社員がいるところは限られています。我が国、日本はその優れた社員のいる国の方になります。会社を成長させたのは、優れた部下がいたからです。
昔、松下幸之助さんは、お茶を誘われレストランに知人と行きました。そこは、その知人の旧知の店らしく、食べ物が運ばれてきます。ところが、松下さんは食事に手を付けません。知人がなぜか聞くと、「この時間はまだ昼休みに入っていないため、社員はまだ食事をしていない。働いている社員がいるのに、自分は食べるわけにはいかない」と言うことを言ったそうです。
女性として扱わない
女性は知恵で勝負する
毅然とした態度を貫く
女性の特性を認めて才能を引き出す。女性活躍が叫ばれている昨今ですが、その伸ばし方はヒステリックになってはいけません。
強運を身に着ける
常に私は運が強い
運が強いと思って努力する
明るさは強運の種。何事もポジティブに考えることが重要です。人から見たら不幸だと思われるようなことも、これがラッキーだと思うと人生は変わります。確かに、何事も運が強いと思ったら、どんなにつらい時でも笑顔で生きられそうです。
最後に引用して終わります。
信頼される上司、実力ある上司になるためには、(略)「内なる革命」をしながら、己の内側を磨いていく。そして、品格、品性を高め続けていく。軽薄な風潮に乗らず、浮薄なマスコミに踊らされず、常に人間的成長を心がける。そういう「人間的魅力」のある上司になるように努力したいものである。