花燃ゆ
は、視聴率が伸び悩み、僕の周りでこのドラマの話をしても、見ている人はとても少ないです。
あっという間に見るのをやめてしまった人もいます。
で、声を大にして言いたいのですが、花燃ゆは、面白いです。
主人公の杉文があまりにも歴史的に無名で、そもそもそこにはいないでしょう!と言う感覚で語られることが多く、そうした人にとっては、realityのないドラマになっているのだと思います。
なら、物語の語りべと思えばいいのです。
語りべなら、そこにいようがいまいが、どうでもいいのです。
物事を違った方から見るのは重要です。
この大河ドラマの前半の一番の中心人物は、吉田松陰です。
今はまだ、吉田寅次郎です。
彼の生き方が縦軸になっています。
そして、またそのことが、この番組を軽くしています、批判する人にとっては。
この維新の傑人、吉田松陰。
彼の描き方が足りないのだと。
彼の気持ちの表し方が足りないのだと。
それは、無理です。
ドラマの主人公は、杉文です。
流石に、語りべと言っても、一緒にいない吉田寅次郎の心の中まで描いていくと、それこそリアリティが著しくなくなります。
吉田寅次郎と言う人物のことを、実はそんなに知りません。
日本史の教科書では、幕末に密航を企てて失敗したこと。
松下村塾をやったこと。
安政の大獄で処分されたこと。
これしか知りません。
松下村塾から、多くの逸材が輩出しました。
維新を達成できたのは、この松下村塾があったからとも言われています。
で、僕らもそう思っています。
ただ、それでも、吉田松陰の人柄までは、学んだことはありません。
歴史に100%の真実はありません。
その時代に生きていた人が書いたわけではないので、多かれ少なかれ想像が入っています。
おそらく当時の人はこう考えていたんだろうと。
こうやってきたんだろうと。
ぼくらは、その行動から類推するしかありません。
物事を前例にとらわれず解釈し新しいものにするのは、なかなか大変なことです。
人がついてきませんから。
その人々に共鳴させた、吉田松陰という人物は、やはり偉大です。
前例のないことを教え、それに共鳴させ、自分がいなくなった後に、その教えから革命を起こしてしまうなんて、世界的に見ても多くありません。
しかも、その革命が今もなお、善なのは、世界広しと言えども、5本の指ぐらいしか、僕には思い出せません。
幕末という、日本の中では革命の時代。
幕末をおそらく生き延びていく、杉文を主人公にするからこそ、一本の線の中で描かれていくことがあります。
そういった意味でも、この大河ドラマは面白いと思います。