一つの魚のことを4ページにまとめ、62+2の魚のことが書かれています。
イラストは、あの酒場放浪記の吉田類が描いています。このイラストがよくできていて、ああ、あの魚のことなんだなあと気づきます。
作者は、魚屋と言う魚料理店を20年やっていた西潟正人。
僕はもともとが魚をあんまり知らなかったので、ちょうど魚のことがちょっとはわかる気がします、この本を読んで。
出世魚。
ブリが有名ですが、小さいころからの名前では、
モジャコ、ワカシ、イナダ、ワラサ、ブリ。
関西では、ワラサのサイズをハマチと呼ぶ。
ハマチって、今やこっちの関東でも使っているような気がするんだけど、あれは気のせいかなあ。
ブリの最近はあんまり捕れなくなったようで、昔はワラサと呼んでいたものをブリと呼ぶようになったらしい。
出世魚と言うと、出世ごとに高級魚になるイメージあるけど、それを見事に覆すのが、
コノシロ。
小さい順から、
シンコ、コハダ、コノシロと変わるが、一番値段が高いのは、シンコ。
なんと、親のコノシロは下魚扱い。
コハダは、すし屋でよく食べる。
この本は、魚への愛情に満ち溢れている。
そのうえ、日ごろ見向きもされない魚を調達し料理してきた著者により、すべての魚が生き生きと描かれているし、魚の怖さもちゃんと書かれている。
短編の集まりなので、ちょっとした時間に読むには最適。