以前、葬式に行ったとき誰かが棺の中を携帯電話についているカメラ(以下:携帯カメラ)で撮っていた。葬式と言う場の厳粛さと携帯カメラと言う軽さにとても違和感を感じた。
今回の、秋葉原の通り魔事件でも携帯カメラが登場している。事件の現場を多くの携帯カメラが撮影しているのである。
携帯カメラって一体何なのか?と言うことを考えたので、これから考察する。
携帯カメラと普通のカメラ(一眼レフとかデジタルカメラとか)には、超えられない大きな壁があるのではないかと思う。壁と言うのが適切な表現ではないならば、この二者は似て非なるものではないかと思う。
携帯カメラは存在がとても軽い。
何ゆえ、その存在が軽いのか。
・携帯電話の付録
携帯カメラは、携帯電話の付属品でしかない。
携帯電話の主役は、あくまで電話機能である。それに追加した付録がカメラ機能である。
・メールの付属
この携帯カメラで撮影した写真は、紙に印刷して取っておくというのが一番の目的ではなく、写メに代表されるように、撮ったものをメールで友人に送ると言うのが第一の目的となっている。カメラ部分が付録であるということに加えて、撮影してできたものまでも、メールの付属であると言うことである。つまり、主役でないから軽いのである。
・撮影したときの音が軽い
携帯カメラは、撮影時の音が「ピロローン」とか「ピロ」とか「シャラーン」とか、とても軽い電子音である。普段は気にならないが、この音の軽さゆえ時と場所により非常に耳障りになる。これに対して、本家カメラは、「バシャ」とか「「カシャ」とか存在感のある音を出す。
・片手だけで撮影するスタイル
携帯カメラは、撮影するときも片手が多い。この片手での撮影スタイルが軽さを呼ぶ。片手で撮るため、メモのような軽快感はあるが、軽さを否めない。
こういう携帯カメラの軽さとか”ついで感”があるため、撮影されるほうも普通のカメラで撮られるときのようなポーズとか緊張とかがなくなる。
これなのに、携帯カメラで撮影する時に、まるで普通のカメラと同じように撮影したりすると、
「携帯で撮るのになんでそんな時間かけてるんだよう!」
「チーズ、とか言えないっしょ」
「さっと撮ってよ、さっと」
「ポーズとかどうでもいいんだから」
とかになる。
軽さは、その引き換えとして、撮影することに勇気とかがいらなくなる。
プロのカメラマンとか、趣味がカメラとか言う人でない限り、カメラで町の風景とか撮るのは、少々勇気がいる。
普通のカメラは、撮影するまでに用意することが多い。
カバンを開けて
カメラを持って
ケースから本体を出して
スイッチを入れて
被写体を覗いて
ピントを合わせて
撮影する
この間に、絞りをどうするとかシャッタースピードをどうするとか他にも作業があったりする。
これは、デジタルカメラでも同じで、そんなに変わらず手間がかかる。
この手間が大きいから、ちょっと撮影するかと言う感じでなくなる。
それに引き換え、携帯カメラは、
ポケットから出して
カメラ機能にして
撮影する
これだけ。
このスピード感と、所詮携帯についたカメラと言う付属品的手軽さから、撮影することに対する勇気とかは不要になる。
まあ、もののはずみでも撮ってしまうということになる。
つまり、物体としての軽さや感情的な軽さから、どんなものを撮影しても、羞恥心とか罪悪感がなくなる。
カメラと言うものは、本来からファインダーを覗いて撮影に入ると、周りとかが見られなくなると言う性質がある。
それは、例えば子供の運動会とか学芸会とかでビデオカメラとかカメラで撮影している親の目が血走っているところからも分かる。全てがカメラとその向こうにある被写体の2点しかなくそれを遮ろうとするものは、全てが悪のように感じるのである。
僕は、これをファインダーの狂気と言っている(嘘です。今思いつきました(笑))。
このような、ことから考えてみると、携帯カメラで撮影するということは、軽さと狂気のため、普段ではできないことまでできてしまうと言う危険性があるものだと思う。
いきなり、30人ぐらいが携帯カメラで撮影してきたりしたら、怖いな。
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