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軍神 広瀬武夫、坂の上の雲。

明日の坂の上の雲。タイトルが「広瀬、死す」です。

坂の上の雲は、昨年第一シリーズがあり、今年第二シリーズ、そして来年第三シリーズにて完結する、3年にも及ぶドラマです。その登場人物といいスケールといい、これこそ大河ドラマではないかというぐらい大きな番組です。

第二シリーズは、雰囲気が暗くなりました。
日露戦争へつながる時代背景からか重苦しい感じになっていますし、主要な登場人物である正岡子規広瀬武夫の死というのも大きな理由かも知れません。

広瀬武夫は、日露戦争で戦死し軍神となります。

軍神、グンシン、グンジン、イクザガミとも呼びます。

軍神はもともと、軍事・戦争を司る神であり、文字通りの神様でした。これは商売の神様とかと感じは同じですね。
ところが、日本的な神が登場します。それが、壮烈な戦死を遂げて神格化された軍人です。この感覚に近いのは、学問の神と言われている菅原道真ですか。
 

軍事・戦争を司る神としては、
日本書紀に、天照大神(アマテラスオオミカミ)が皇孫瓊瓊杵尊ニニギノミコト)を葦原中国に降されるにあたり、武甕槌神タケミカヅチ)と経津主神(フツヌシノカミ)が先発して平定したという故事が記されており、その二柱の神をそれぞれ祀った鹿島神宮香取神宮が、古くから軍神として崇められています。
また、平安時代後期から中世にかけて、武家の筆頭であった清和源氏が石清水八幡を氏神とし、鎌倉の鶴岡八幡宮をはじめ各地に勧請したことから、八幡神は広く武士達に軍神として崇拝されていました。


明治以降、軍神とされた軍人が多くなります。

乃木希典大将、東郷平八郎元帥が有名ですが、
日露戦争中の旅順港閉塞作戦において戦死した広瀬武夫中佐
日露戦争中首山堡攻略に当り最前線で指揮を執り全身に傷を負いながら、一歩も引くことなく壮烈な戦死を遂げた橘周太中佐。
第一次上海事変時の肉弾三勇士。
第二次上海事変から徐州会戦中の昭和13年5月17日に流れ弾に当たって戦死した西住小次郎大尉など、多くの軍神が登場します。


近代おける戦争で亡くなった軍人を軍神とする考え方は、日本以外ではなかなか出てこない思想かもしれません。
そもそも、神というのは、多くの国では一人しかいません。
八百万の神様がいる日本だからこそ、それこそ不思議な感覚も持たず受け入れたものだと思います。

軍神という考えが、戦争を美化し、第二次世界大戦での壊滅的な敗北に至らしめたと言う考えには、素直に従う気持ちはありません。日本が大東亜戦争に突き進んでいったのには、もっと複合的な理由があるからです。

そういうことをいろいろと考えた上で、必死に戦い軍神となった人たちには、尊敬の念を持ちたいと思います。


明日、坂の上の雲では、広瀬武夫中佐の最期です。