「アサヒビールの奇跡」という本を今読んでいて、シェア10%切から奇跡の復活を果たしたアサヒビールの話が書かれている。
アサヒビールを改革していくのに一番難しかったのは、赤字じゃなかったからだと書かれている。当時社長は、村井さんで、この人は、マツダの再建をやり遂げた人だったが、その村井さんにして、大きく違ったのが、赤字かどうかだったという。
それは、なぜかと言うと、社員の危機感がまるで違うわけであり、いくら業績が悪くても赤字じゃなければ、改革することを止めるという力もあると言うことである。
そりゃ、そうだと思う。
近所にこれとおんなじ会社があったりする。
村井さんが、CIを行いアサヒビールの流れを何とか作り変えてから、自分の住友銀行時代からの部下である、樋口さんに社長に来てもらう。
ここから、あまりにも有名な大逆転が始まるのであるが、樋口さんが来てすぐに
仕事十則と管理職十則を制定した。
面白いので、すべて書く。
仕事十則
1.基本に忠実であれ
基本とは(1)困難に直面したとき、志を高く持ち初心を貫くこと。(2)つねに他人に対する思いやりの心を忘れないこと
2.口先や頭の中で商売をするな。心で商売せよ。
3.生きた金を使え。死に金を使うな。
4.約束は守れ。守れないことは約束するな。
5.できることと、できないことははっきりさせ、イエス・ノーを明確にせよ。
6.期限のつかない仕事は「仕事」ではない・。
7.他人の悪口を言うな。他人の悪口が始まったら耳休めせよ。
8.毎日の仕事をこなしているとき、「今何をすることが一番大事か」ということをつねに考えよ。
9.最後までやり抜けるか否かは、最後の一歩をどう克服するかにかかっている。これは集中力をどれだけ発揮できるかによって決まる。
10.二人で仕事をするな。お互いに相手がやってくれると思うから「抜け」ができる。一人であれば緊張感が高まり、集中力が生まれてよい仕事ができる。
管理職十則
1.組織を活性化しようと思ったら、その職場で困っていることを、ひとつずつつぶしていけばよい。人間は本来、努力して浮かび上がろうとしているものだから、頭の上でつかえているものを取り除いてやれば、自ずと浮上するものだ。
2.職位とは仕事のための呼称であり、役割分担を明確にするためにあるものだと考えれば、管理とは何かがキチンと出てくる。
3.「先例がない」、「だからやる」のが管理職ではないか。
4.部下の管理はやさしい。むしろ上級者を管理することに意を用いるべきである。
5.リーダーシップとは、部下を管理することではない。発想を豊かに持ち、部下の能力を存分に抽き出すことである。
6.「イエス」は部下だけで返事してもよいが、「ノー」の返事を顧客に出すときは、上司として知っていなければならない。
7.人間を個人として認めれば、若い社員が喜んで働ける環境が自ずからできてくる。
8.若い人はわれわれ自身の鏡であり、若い人がもし働かないならば、それはわれわれが悪いからだと思わなければならない。
9.若い人の話を聞くには、喜んで批判を受ける雅量が必要である。
10.結局職場とは、人間としての切磋琢磨の場であり、練成のための道場である。
当たり前のところに真実があり、当たり前のことだからやることが難しいのでしょうね。
自分なりに解釈して、行こうと思います。
このアサヒビール、もっと驚くのは、コク・キレで売れたアサヒ本生をあっさり捨て、スーパードライに変えていくことです。これは、これから読んでいくところに書かれていると思います。
大逆転を起こすことは、血のにじむような努力と、今までの成功体験をすべて捨てる勇気と、いったん成功したことも、さらにその上を目指すなら、それさえ捨てる気概が必要なのですね。
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