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教育について〜第1回:識字率

さて、今日から不定期に教育問題について書いていきます。
第1回の今日は、先日ダニエル・カールさんも話していた識字率です。

識字率とは、15歳以上人口に対する、日常生活の簡単な内容についての読み書きができる人口の割合のことです。ちなみに日本の識字率は99.8%と言われておりほぼ100%です。

この識字率、明治時代以降の学校制度がしっかりと作られ尋常小学校から旧制中学とか帝国大学に至るまでができてからだと思っていると、それはちょっと違います。

江戸時代。
幕末期に来日した西欧人達が日本の識字率の高さに驚いたことは複数の文献で伝えられています。幕末期の江戸の識字率は男子が79%、女子が21%で、武士は殆ど100%読めていたらしいです。農村でも20%は読めたと言われています。これは当時の世界の中では群を抜いていて、明治になり福沢諭吉は「通俗国権論」で幕末の日本の識字率は世界一であると誇っています。

明治15年の文部省年報では(滋賀縣での)男子識字率は91%女子は50%、全体では70%となっているようです。


幕末、歴史物の小説を読んでいると武士が塾と呼ばれるところ(長州藩松下村塾とか有名です)で学ぶところが書かれています。それだけ当時から教育熱心だったということでしょう。

現在、世界の識字率は約75%だそうです。

世界の識字率の分布図があったので掲載します。
shikijiritu.gif

この図が載っているサイトでは、世界の識字率は86%となっています。
 

識字率ですが最初に書いたように、その意味は日常生活の簡単な内容についての読み書きができると言うことです。

この意味するところは何かと言うと、日本って本当に凄いと言うことです。
アルファベットを使う国の人たちは、所詮文字は26文字しかありません。アルファベットに限らず同じような表音文字を国語として使っている国には、そんなに多くの文字数はありません。

それに比べ、日本には文字だけでも、ひらがな、カタカナ、漢字と3つもあります。漢字には、よく使う常用漢字として1945字もあります。

ひらがなは、
あ行 あ い う え お
か行 か き く け こ
さ行 さ し す せ そ
た行 た ち つ て と
な行 な に ぬ ね の
は行 は ひ ふ へ ほ
ま行 ま み む め も
や行 や   ゆ   よ
ら行 ら り る れ ろ
わ行 わ ゐ   ゑ を
   ん

と、既にアルファベットより数が多いです。カタカナも同様です。

”ゐ”とか”ゑ”で思い出しましたが、僕は、「〜〜をしましょう」と言う表現をよく頭の中でこう書いたりします。「〜〜しませう」。こういう昔の表現が柔らかくて好きです。


識字率は、割合も大事ですがその国の人がどういう文字を使ってるかも重要で、この難しい日本の国語を良くみんな読めているなあと実感します。

これだけでも、日本の教育は進んでいます。
だから、卑下する一方な批判はやめましょう。


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